筆の動く儘に

妄想と創作の狭間を漂流する老人のブログ

ウェイクアップ

充実した睡眠の余韻に浸りながら布団の中で微睡んでいると人間が駄目になる。
目が醒めた瞬間に起きるのだ。
布団を蹴っ飛ばし上体を起こし鼻から思いっ切り空気を吸う。
そして徐ろに立ち上がり洗面所へ向かう。
冷たい水でバシャバシャと勢いよく顔を洗う。
強張った顔面を鏡に映し恐る恐る口角を上げてみるが上手く出来ない。
だからといってお湯で顔を洗えばよかったなんて思ってはいけない。
タオルで顔を拭く。
優しくタオルを顔に押し当て水分を吸い取るなんてヤワなやり方は駄目だ。
硬くゴワゴワしたタオルで顔の水分をこすり取るのだ。
そう、ちょうど汚れたガラスを雑巾でゴシゴシ拭くように。
ここまで来ると眠気は一切ない。
しかし寝室に戻り布団を見るともう一度入りたい誘惑に駆られる。
人間なんて所詮弱い生き物なのだ。

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