筆の動く儘に

妄想と創作の狭間を漂流する老人のブログ

人を恋うる歌

妻を めとらば 才たけて みめ美わしく情けある
 
旧表記は「人を戀ふる歌」で、読み方は「ひとをこうるうた」
人を恋うるとは特定の異性を好きになりその人のことを思うこと。あるいは特別な場所などを思うことです。
 
与謝野鉄幹が「人を恋うる歌」を作ったのは明治三十年、二十四歳の時。このときの妻は浅田信子でした。明治三十二年に信子と別れ林滝野と結婚。しかし翌明治三十三年には晶子と不倫が発覚。明治三十四年に滝野と別れ晶子と再再婚する。
わずか四年間のうちに離婚、再婚、不倫、離婚、再婚を繰り返し遂に歌の文句にある「妻」与謝野晶子と巡り合ったのでしょう。そういうことにしておきたいと思います。
 
いつぞや知れず下世話なテレビのワイドショーで夫の呼び方、妻の呼び方を身分の順で紹介していました。
「旦那→主人→亭主→夫」
「細君→奥さん→女房→家内→かみさん→妻→嫁」
ひとつひとつの言葉にはそれぞれ意味があるのですが最近は自分の配偶者のことを夫もしくは妻というのがスタンダードのようです。
妻、夫という言葉は上下関係がない、対等、平等という意味が含まれているからだそうです。
男の思う男女平等。
女の思う男女平等。
男が思う良い夫、良い妻。
女が思う良い夫、良い妻。
深くて暗い川があるうちはきっと同じではないんでしょうね。
「妻を めとらば 才たけて みめ美わしく情けある」なんて言ってること自体が女の怒りを買うことになっているのかもしれません。

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