筆の動く儘に

妄想と創作の狭間で漂流する老人のブログ

風鈴

夏の風物詩のひとつに風鈴があります。

風鈴は椀(わん)、舌(ぜつ)、短冊の三つの部品を紐でつないだシンプルな鐘です。短冊が風を受けて揺れると舌が椀に当たって音が鳴ります。暑い夏、わずかな風で鳴る風鈴。蒸し暑い家の中にいて軒下に吊るした風鈴の音を聞くと涼を感じます。それはとても素敵な感性だと思います。

かの石川五右衛門は釜茹での刑に処せられた時「ちょうどいい湯加減だわい」と言ったとか言わなかったとか。それに引き換え容赦ない陽射しの中、街を歩く現代人の顔は今にも焼け死にしそうなほどの厳しいそして絶望的な表情をしています。つまり暑気に負けているのです。

そんな中、涼しげな柄のノースリーブのワンピースを着た色白の女性が背筋を伸ばして涼しげな顔をして信号待ちで立っていました。その人を見て僕は風鈴だと思いました。本当は彼女も暑いはずなんだけどそれを表情に出さずにそして服装とも相まって周りに涼を醸し出そうとしている意識を僕は感じたのです。そういう女性が僕は美人だと思うのです。