筆の動く儘に

妄想と創作の狭間を漂流する老人のブログ

覚えていたのに思い出せない

去年の秋、大阪を舞台にした小説が読みたいなと思いネットで検索してある小説を見つけた。いつか読もうと思ったままいつの間にか忘れてしまっていた。


年が明けたある日、そういえばあの時読もうと思って検索した小説はなんという題名だったっけと突然気になりだした。必死で思い出そうと試みたが全く思い出せなかった。あとで検索しようと思ったのだが結局検索することもそのまま忘れてしまった。


一月も末になったある日、電車での移動中に読みかけの小説をキンドルで読んでいた。これが結構な時代物の長編で登場人物も多く場面もよく変わるので話がなかなか頭に入らない。遅々として読み進めなくて難儀していた。すいすい読める本にしようとキンドルのライブラリーを開いた。


ガビーン

そこにはあの題名が思い出せなかった大阪を舞台にしたあの小説が「早く呼んでよ」ってな具合でほかの小説と一緒に並んでいた。あれ、いつの間に買ったんだろう。買ったことをすっかり忘れていた。キンドルの購入履歴を見るとなんと去年の秋に買っていたのだった。
読み始めた。すいすい読める。景色が分かる。匂いが分かる。面白い。あっという間に読み終えた。ちゃんと余韻も残る。ああ、やっぱり小説はこうでなくっちゃ。